6.任意整理の減額幅

任意整理に関する話を進めていますが、任意整理に関してよく聞かれる質問の一つに「任意整理手続きをすると、一体どのくらい債務が減額されるのでしょうか?」といった内容があります。確かに任意整理を検討或いは依頼している債務者の殆どが、借金に関してかなり切羽詰った状況にあり、従って任意整理によってどのくらい債務が減るのか、といった質問は、非常に関心の高いことのようです。任意整理と同じく借金の整理の方法として知られている自己破産の場合、財産が処分されると言ったデメリットはありますが、借金が帳消しになります。では任意整理の場合も同じように借金が帳消し、或いはそこまではいかなくても減額される、といったことがあるのでしょうか。ここではある意味非常に関心の高い任意整理と借金の減額についてお話します。
借金の減額と聞くと、任意整理の場合「ちょっと待った」と言わざるを得ません。それは任意整理の場合確かに借金は減額、整理されますが、厳密に言えば債務者がその分まるまる得をするとは言えないからです。その訳をこれから説明することにしましょう。例えば任意整理を依頼した債務者が、消費者金融のような高い利息の債権者に対して返済を繰り返していた場合を考えます。任意整理の依頼を受けた代理人は、任意整理の依頼人である債務者に対して借金に関する調査を行ないます。その後は債権者である消費者金融業者から取引履歴を取り寄せ、その取引履歴を利息制限法に基づく利息の規定で再計算します。すると往々にして所謂「支払い過ぎた利息」があることがわかります。任意整理の代理人は、この部分を差し引くように消費者金融業者に対して要求できます。ここで一体それだけ減額されるかの程度は、過去に任意整理の依頼人がどれだけの利率で、どれだけ多くの利息を支払ってきたかに拠ります。個々の取引期間、返済額、利率等の内容が異なりますので、任意整理で幾ら減額できるのかといった質問に対しては、ケースによって異なるとしか答えられません。状況によって、減額の結果は大きく異なります。
また、任意整理に関して一般的によく誤解される点ですが、任意整理は交渉の巧拙、或いは債権者の出方の如何によって減額の程度が決まるのではありません。例えば100万あった債務が50万になったというのは、代理人の任意整理に関する交渉がうまくいったからではなく、かといって債権者が誠意を見せてくれたからでもなく、今までに50万円も法定利息を超えた利息を払っていたからであって、もし同じような状態の人が同じように任意整理を行えば、少なくともこの程度までの減額は絶対に可能なのです。
ですが実際には全く同じ金額の人が数人で個別に任意整理を行なっても、その結果として任意整理後の返済額には違いが生じます。その理由は、単に手続き後の支払い回数が何回であるかという回数の問題があるからです。
ここで任意整理を経て減額される借金の額に関しておさらいです。最初の問題に戻りますが、任意整理は厳密に言えば借金の帳消しや減額とは決して言えない部分があります。減額される部分は、「今までに余分に返済していた部分」だと考えてもいいのです。そして任意整理手続き完了後の新たな返済額、返済計画も、この余分に支払っていた部分を差し引いた金額に基づいています。つまり任意整理の一番の課題でありテーマは、「過去に余分に支払った利息を戻してもらい、さらに任意整理手続き後の利息もカットしてもらう」という和解内容であり、またどこまで支払い回数を延ばしてもらうことができるかなのです。

以上が任意整理において減額される借金の金額の考え方です。長らく消費者金融から借金をしている人の場合、もしかしらこのように「余分に返済していた金額」というものがあるやもしれません。何はともあれ、皆さん自身自分の借金、及び返済の状況に関心を払うことです。